こんにちは。
整体サロンpirka-ピリカ-の山田です。
皆さんは「速筋」と「遅筋」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
筋トレに興味があったり、スポーツをされている人なら聞いたことがあるのではないでしょうか。
その中で、速筋は大きく・太くなりやすく、遅筋は細く太くなりづらいという特徴をなんとなくでも知っている人は多いと思います。
ではなぜ、速筋は太く、そして遅筋は細いのでしょうか。
今回は解剖学・生理学の観点からそんな素朴な疑問を解説していこうと思います。
目次
速筋・遅筋とは何か?
速筋とは「大きな力を発揮できる筋肉」かつ「持久力が無い筋肉」のことです。
よく「白筋」や「アウターマッスル」、「タイプⅡ繊維」などとも呼ばれます。
筋力トレーニングをすると筋肥大しやすい種類の筋肉で、ボディビルダーの筋肉はこの速筋が発達していると言っても良いでしょう。
一般の人が”筋肉”と聞くとイメージする筋肉はこの速筋だと思います。
魚で言うと白身の魚がこの速筋を持っています。素早い動きで獲物を捕らえたり、敵から逃げるために瞬発力が必要な魚(ヒラメなど)が代表的です。
遅筋とは「大きな力は発揮できない」かつ「持久力に優れた筋肉」のことです。
こちらは「赤筋」や「インナーマッスル」、「タイプⅠ繊維」などとも呼ばれます。
体の奥深くの骨の近くにある事が多く、筋力トレーニングをしても大きくなりづらいと言われています。
マラソン選手が痩せているけど長い距離を走れる姿を想像するとわかりやすいかと思います。
魚だと赤身の魚がこの遅筋を持っています。長い距離を泳ぐ魚や、マグロのように泳いでいないと呼吸ができない魚が代表的です。
身が赤いのは「ミオグロビン」という長い時間運動をするのに重要なタンパク質が多いのが理由です。
白筋はこのミオグロビンが少なく、赤筋はミオグロビンの量が多いのです。
速筋と遅筋の特徴
筋トレをしている人やボディビルダー、重量挙げ選手などの短時間の筋力発揮ができるようにトレーニングをしています。それは速筋の量を多くする(筋肥大)ためです。
速筋の特徴は前述した通り「筋力トレーニングで筋肥大を起こしやすい」という特徴があります。
強い力(全力の60%以上の力)で多くの回数(量)の負荷をかけると筋肥大が起こりやすいと言われています。
また逆に長距離選手の体は細く、長時間の安定した筋力発揮ができるようにトレーニングをしています。
遅筋の特徴も前述しましたが、「筋力トレーニングでは筋肥大を起こしにくい」という特徴があります。
弱い力(全力の30%程度)でも十分に刺激が入ると言われています。
筋繊維の太さの違いの理由
ではなぜ長距離選手(遅筋が多い)は筋肉が細く、ボディビルダーや短距離選手(速筋が多い)は筋肉が太いのでしょうか?
それは「細胞のサイズとエネルギー産生効率のバランス」が大きく関わっています。
細胞は『細胞膜』に包まれていてその中には『細胞質』という液体で満たされています。
そしてよく聞くかと思いますがミトコンドリアもこの細胞質内に存在します。
つまり細胞膜という入り口から栄養素を運んできて、細胞質内でエネルギーを作り出す。
といった流れでエネルギーを作っているわけです。
細胞膜の表面積によって、どのくらい栄養素(材料)を運び込めるかが決まります。
細胞質の量(細胞の大きさ)によって、どのくらいエネルギー産生(筋力発揮)できるかが決まります。
ここまでは良いでしょうか?
では、ここで筋肉の特徴をもう一度おさらいしておきます。
速筋は太くなりやすい。
遅筋は太くなりにくい。
これを踏まえて筋肉の細胞を大きく(筋肥大)させてみましょう。
筋肉の大きさが2倍になると体積が8倍になります。これは消費するエネルギーが8倍になるという事です。
しかし表面積は4倍にしかなっていません。エネルギーを作るのに8倍の栄養素が必要なのに、4倍の栄養素しか細胞内に運び入れる事ができないのです。
これでは消費量に供給量が追いつきません。
つまり筋肉の細胞が大きくなればなるほど『短時間で一気にエネルギーは作れるが長時間のエネルギー産生はできない』という状態になるのです。
この体積と表面積の関係で
速筋は太くなりやすく、大きな力を発揮出来るが持久力が無い。
遅筋は太くなりづらく、小さな力しか発揮できないが持久力がある。
といった特徴が生まれるのです。
このことからスポーツの種類や目的によってどのくらいの筋肉の大きさが好ましいのかが変わってくるのがわかります。
長距離選手は筋肉のサイズが小さい遅筋が自然と発達し、逆にボディビルダーや短距離選手は筋肉のサイズが大きい速筋が発達するのです。
終わりに
どうでしたでしょうか?
速筋は大きくなりやすい。
遅筋は大きくなりづらい。
色々な特徴は知っているけど、それが何故かは知らない人は多かったのでは無いでしょうか。
競技によって適当な筋肉のサイズがあるのはこういった理由があるからなのです。
よかったら参考にしてみてくださいね。