肩甲胸郭関節の機能解剖と臨床的観点。肩甲胸郭関節の機能性に影響する因子とは?

こんにちは。

整体サロンpirka-ピリカ-の山田です。

 

肩関節の外転180度の動きは「肩甲上腕関節」と「肩甲胸郭関節」の2つの関節で起こります。

今回はその中の「肩甲胸郭関節」の機能、関わる筋肉などを中心に解説していきたいと思います。

リハビリやセラピスト、トレーナーやリラクゼーションなどの体に関わる人達のお役に立てれば幸いです。

 ①肩甲胸郭関節の機能解剖と運動学的役割

肩甲胸郭関節とは「肩甲骨」と「肋骨」で形成される関節です。(肩甲骨が肋骨に乗るような形ですので厳密にいうと関節の定義から外れるかもしれません)

肩甲骨の動くの名称

肩甲骨が内側に動く内転。肩側へ動く外転

肩すくめなどで上方に動く挙上。肩を下げる下制

肩を上に上げる時に下角が外方へ動く上方回旋。逆は下方回旋

肩甲胸郭関節に接する筋肉

肩甲下筋

起始:肩甲骨の肩甲下窩

停止:上腕骨の小結節

前鋸筋

起始:第1~9肋骨

停止:肩甲骨上角の肋骨面•背側面、肩甲骨内側縁の肋骨面、肩甲骨下角の肋骨面•背側面

肩甲骨と肋骨の間に上記2筋が存在する。

肩甲下筋が肩甲骨側(浅層)前鋸筋が肋骨側(深層)に存在する。

※上後鋸筋も関係するがここでは割愛しています。

 ②肩甲胸郭関節と症状の関係性

肩甲骨の上方回旋は可動域が約60度あると言われています。※肩甲上腕関節外転が約120度。合わせて180度。

肩甲胸郭関節の可動域が減少すると肩甲上腕関節の負担が大きくなり肩関節の痛みに繋がります。

また肩甲胸郭関節の可動域減少は背部や頸部の筋肉の柔軟性低下を助長して肩こりや背部痛、頭痛などの症状を起こす原因にもなり得ます。

背部の筋肉の緊張によって胸椎の可動域などに影響が出てくると肋間神経痛なども誘発される可能性があります。

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2024年6月5日

 ③肩甲胸郭関節への各種アプローチの考察

肩甲胸郭関節の間には「肩甲下筋」と「前鋸筋」が存在します。

その為、この2つの筋肉に対してアプローチを行うことが重要です。

例えば2つの筋肉の間に指を差し込んだ状態で他動運動を加えて滑走性の改善を狙ったり、呼吸を深くして肋骨の膨張と収縮を促しながら肩甲骨を大きく他動的に動かして可動域を改善するなどが方法として挙げられるでしょう。

また肩甲骨の位置を正す為に「姿勢の改善」「姿勢保持筋のトレーニング」「呼吸機能の改善」「普段使用する道具の変更」なども生活指導に盛り込むことも失念しないよう気を付ける必要があります。

山田
肩甲下筋と前鋸筋は腕を上げた状態で腋窩後部から触れることができます

 まとめ

どうでしたでしょうか?

首肩周辺の症状に対してのアプローチ箇所として、肩甲上腕関節や頚部はもちろん大切ですが肩甲胸郭関節も見逃してはいけない箇所です。

肩甲骨は背部を構成する大きな筋群の多くと接続がある部位ですので、今回記載のある2筋以外に関しても改めて確認をするようにしてみてくださいね。

参考:プロテメウス解剖学コアアトラス(第3版)