こんにちは。
整体サロンpirka-ピリカ-の山田です。
今回は「横隔膜」を中心に現場で見落とされがちな役割やアプローチ視点を柔道整復師として6年と整体師として7年の私が解剖学に基づいて解説していきます。
リハビリやセラピスト、トレーナーやリラクゼーションなどの体に関わる人達のお役に立てれば幸いです。
ではどうぞ。
目次
①横隔膜の解剖機能と役割
横隔膜は前面は胸骨〜肋骨、後方は腰椎まで付着しています。
中心部は腱中心に付着しており、ここが最も上部になります。
起始:第7~12肋骨、腰椎内側部1~3椎体・椎間円板・前縦靭帯、腰椎外側部外内側弓状靭帯、胸骨剣状突起後面
停止:腱中心
横隔膜は呼吸に関わりますが吸気時には収縮し、呼気時には弛緩します。
吸気時には胸腔内は陰圧になり肺に空気が入ります。
努力吸気(意識して息を吸う時)では横隔膜以外の外肋間筋や斜角筋群なども強くはたらきます。※通常吸気でもはたらいてはいます
呼気時には横隔膜が弛緩し腹圧によって空気が肺から押し出されます。
努力呼気時には腹筋群や広背筋などの背部筋の一部もはたらきます。
横隔膜は呼吸による上下運動によって、胸腔・腹腔の陰陽圧の調整や内臓の位置移動などにも関わっていることも覚えておきましょう。

横隔膜の形(矢状面)
②横隔膜に関係する症状のパターン
横隔膜が関係する症状で身近なものとしては、「頭痛」「肩こり」「腰痛」などが挙げられます。
逆に呼吸が浅い、横隔膜の収縮と弛緩が少ないと胸腔内の陰圧が小さくなるので頭部に血液が貯留し拍動性頭痛や筋緊張性頭痛などに影響を与える可能性があります。
逆に横隔膜の運動量が低下し呼吸が浅い状態が続くとその分肋骨の動きも低下します。肩甲骨の動きも低下する為、肩こりや背部の不定愁訴が起こりやすくなる可能性があります。
上記でご紹介したのは、横隔膜が関係する症状として考えられるごく一部ですが、これらを頭の隅に置いておくだけでもアプローチの幅や視点が広く持てるかと思います。

③横隔膜に対する各種アプローチ
横隔膜は肋骨弓の下面からアプローチする事ができます。
腰椎部分や胸骨部分で触れることは難しい(というより触ろうとして抉ると痛い・・)ので肋骨弓下面から横隔膜の端にアプローチするのが最も痛みを伴う事なく触れられる方法かと思います。
個人によって触れやすい部分が変わるので肋骨弓の高さは随時検討してみてくださいね。
他には呼吸の補助を行うことで間接的に横隔膜の伸縮の手助けをする方法もあります。呼吸時の肋骨の膨張と収縮に合わせて手で直接圧迫と解除をする方法です。
横隔膜の腱中心の周辺などには物理的に触れる事が難しいので、付着部の端に触れたり、呼吸をしやすくするなどが現実的なアプローチ方法になります。
まとめ
どうでしたでしょうか?
横隔膜は呼吸の主動筋であり、思っている以上に広い範囲に付着している筋肉です。
また無意識で動く不随筋でもあり、意識的に動かせる随意筋でもある不思議な筋肉でもあります。
広い付着範囲から考えると、主原因とはならなくてもアプローチと考え方次第で様々な活用ができる筋肉なのかなと思います。
よろしければみなさんの現場に活かせるよう参考にしてみてくださいね。
参考:プロテメウス解剖学コアアトラス(第3版)
