『筋肉は裏切らない』は本当なのか?解剖学・生理学から考える筋肥大

こんにちは。

整体サロンpirka-ピリカ-の山田です。

よく『筋肉は裏切らない』といった言葉を聞く事があると思います。

本やテレビでも筋肉の有用性について書いてある本は多くあります。

この『筋肉は裏切らない』は本当なのか。整体師・トレーナーの視点も踏まえて解説していきます。

 筋肥大とは

筋トレを正しく行うと筋肥大が起こります。

筋肥大とは筋肉に起こる生理学的な反応で、筋肉にかかったストレスによって筋原細胞が刺激され筋肉の細胞が大きくなる事を指します。

よく超回復と呼ばれるサイクルが有名です。

 超回復とは

超回復とはトレーニング後のある一定の期間に起こる、トレーニング前より高いパフォーマンスを獲得できる期間の事を指します。

(著書によってはトレーニング後の衰退期、回復期、超回復期、前基準に戻る時期を合わせて超回復サイクルと説明するものもあります)

 筋トレが体に良いとされている理由

筋トレによる効果やメリットは多くあります。

筋トレのメリット

筋力がつくことによる血流促進

筋量増加による代謝促進

性ホルモンの分泌による同化作用促進

筋への刺激による毛細血管の新生

神経刺激による筋の立ち上がり改善(力が入りやすくなる)

など

様々な恩恵があります。

筋肉は体を動かす際に必ず必要な要素になります。

また代謝の割合が大きく現代の1日のエネルギー消費量を底上げするには筋トレによる代謝量増加は魅力的です。

他にも筋肉は組織の特徴としてその保水力がある事が挙げられ、体の水分量の保持や体温の保持などの重要な役割を担っています。

病気などから見ると

糖尿病などの生活習慣病の予防ぎっくり腰などの怪我の予防、高齢者の転倒予防まで幅広い予防に関わるファクターになります。

成長期では適切な筋トレは性ホルモンを刺激し成長を促します。

中年期では生活習慣病の予防。

高年期では介護の予防にも繋がります。

どの年代に関しても適切な筋トレは様々な恩恵があると言えます。

 筋トレで起こる弊害

では逆にデメリットはないのでしょうか。

本などではデメリットは紹介されることはとても少ないです。

筋トレのデメリットは適切な負荷・量で行われている時にはほとんどないと言っても過言ではないでしょう。

気をつけなければいけないのは「過剰な筋トレ」です。

筋トレなどの本やテレビでの紹介では筋肉隆々の競技者や、かなり体を絞っているモデルなどを参考にしている事が多いです。

過剰な筋トレはいくつかのパターンによってデメリットが変化していきます。

まず「過剰な筋肥大」のケースですがこれはボディビルダーなどの筋肉隆々な人物をイメージしていただければわかりやすいかと思います。

筋肉が隆起することで見た目にカッコよさが出てきます。筋トレにハマるとこの筋肥大をメインに鍛えていく人が多くなります。

筋肥大のデメリットを今回はあえて紹介していきます。

 筋肥大のデメリット

可動域の減少

筋肥大をすると関節の可動域が減少します。

1つは筋の柔軟性の低下による関節の可動域減少です。

基本筋肥大には筋の微細損傷と回復を交互に繰り返す事が必要となります(超回復)

微細損傷をした筋肉は筋収縮が起こり硬くなります。そして超回復では筋肥大は起こっても筋の柔軟性は獲得できないのです。

例えば上腕二頭筋(力こぶ)のトレーニングをバーンアウト(限界)までした後、肘が少し曲がった状態になる事があるのではないでしょうか。これは筋肉が短縮した状態なのです。

つまり筋肥大したばかりの筋肉は柔軟性が乏しく、短縮傾向が強いといえます。

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2つ目は筋肥大による物理的な可動域の減少です。

例えば筋肥大(特に広背筋)をした人が脇を閉められないのは有名な話です。

広背筋によって脇が開いた状態になる

関節の周りの筋肉が肥大し関節の可動域を制限する事があるのです。

そして関節の可動域が減少すると関節液という関節の中に存在する潤滑剤が、関節内で上手く循環出来ない状態になりやすくなります。

 関節への負担増加

筋肉がつくと関節が安定し関節への負担が減少すると思うかもしれませんが、それは適切な筋量までです。

ボディビルダーのような筋肉になると節への負担は大きくなるのです。

これは筋量増加による体重増加もありますが、それに加え筋肉の牽引による負荷の増加も存在します。

筋トレによって強化されるのは筋組織と腱組織です。

筋組織は筋細胞が大きくなる事で耐久性や筋力が増加します。

筋肉を骨や関節に繋げている腱も筋トレの刺激によって筋肉ほどではないが、コラーゲン繊維の増加や繊維方向の変化によって耐久性が上がります。

しかし関節に関しては筋トレによっての強化は基本的には見られません

骨細胞が刺激されるわけでも、関節靭帯の強化などが行われるわけでもありません。

骨の骨密度が増えるわけでもありません。(骨密度は筋トレでは増えないと言われています)

適切な筋トレは関節を安定させ関節の負担を軽減しますが、過剰な筋トレによる筋肥大は関節への負担を増加させるのです。

山田
筋トレは万能ではありません。目的や体質に合ったトレーニング方法を実施する事で恩恵が得られるのです。ただ単に筋肉をつけるだけでは効果は最小限になる可能性があります。

 体脂肪のコントロール

筋肥大を目的にしている人には「絞る」という段階があります。

筋肥大は筋肉の体積が増えて大きく見えがちなので、そこから水分や脂肪を落として見た目を良くする段階のことを指します。

この時に気をつけなければいけないのは体脂肪率を下げすぎないことです。

男性はある程度は大丈夫なのですが、女性の場合は体脂肪率が10%を切らないように注意しましょう。

体脂肪が10%を切ると生理不順や無月経が起こるとされています。

女性らしい体つきを目指すのであれば女性ホルモンは必須です。(髪質や肌質・自律神経などにも影響します)

筋トレで体を絞る時には体脂肪には注意しましょう。

生理不順になると自律神経の乱れ、生理痛、腰痛などの原因にもなります

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 筋肉は裏切らないのか?

筋肉は裏切らないかどうか。

それは筋トレのやり方や量によります。

適切な筋トレを行う中では様々な恩恵があり、筋肉は裏切らないと言えるでしょう。

しかし過剰な筋トレ(最近はやっているような筋肥大を過剰に求めるもの)にはデメリットが存在あすることも覚えておきましょう。

目的をはっきりさせてそれに沿った適切な筋トレ方法、量を行うようにしましょう。

 終わりに

どうでしたでしょうか?

他のブログや本や雑誌でも筋トレのメリットは紹介していてもデメリットを紹介しているところは少ないです。

どうしても様々な情報が錯綜して、その中には間違った情報もある状態です。

(例えばプロテインも運動をしないで取りすぎると腎臓にかなり負担がかかります)

情報を取得する時には複数の情報源から得る事と出来るだけ専門家の情報を得るように気をつけましょう。

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