大腿二頭筋の基礎と臨床的有用性-トレーナー的知見と施術家的知見

こんにちは。整体サロンpirka-ピリカ-の山田です。

大腿二頭筋は大腿部の後方に存在する筋肉でスポーツ現場だけではなく、臨床現場でもよく他症状の原因の一つとして考えられる筋肉です。
今回は大腿二頭筋の基本的な解剖学から臨床的な捉え方や知識まで網羅していきたいと思います。

整体師、柔道整復師、理学療法士、鍼灸師、セラピスト、トレーナーといった身体についての専門職の方々の臨床への一助になれば幸いです。

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2025年10月7日

 大腿二頭筋の解剖学的基礎

大腿二頭筋は臨床・スポーツ障害において頻出する筋肉であり、長頭および短頭という二つの頭を持つ特徴があります。まずその基本的な解剖学を整理しましょう。

起始:坐骨結節(長頭)、大腿骨の臀筋粗面の中央1/3
停止:腓骨頭
神経支配:脛骨神経(L5〜S2)、総腓骨神経(L5〜S2)
作用:股関節の伸展(長頭)、膝関節の屈曲

また大腿二頭筋は神経支配が特徴的であり、長頭は脛骨神経枝短頭は総腓骨神経から支配を受けることが多いです。同じ筋肉である長頭と短頭の神経支配が異なり、収縮のタイミングや滑走性の低下などがあると怪我を起こしやすい特徴があります。

 大腿二頭筋の機能形態の詳細

大腿二頭筋の作用には膝関節屈曲・股関節伸展の他に、膝屈曲位では脛骨を外旋させる作用もあります。
これは臨床では膝の痛みに関係する要素の一つであり、施術の対象になります。

また歩行・走行・ランニングにおいては制動・加速動作、特にスプリント時やストライド末期(前に出した足が地面に接するタイミング)で大きな力を発揮・損傷しやすい点が研究で示唆されています。
スポーツ現場においてはこの知見から、ランニング時に足を前に出しすぎないよう指導したり、ダッシュ時の重心の位置の指導が行われます。(ハムストリングス損傷の予防のため)

他にも関節の安定性に関わる役割として、膝前方移動を抑制して脛骨の前方移動を抑制する役割もあります。(ACLと同じような役割)
大腿四頭筋とハムストリングスの筋力差(H/Q比)は1/0.6以上が好ましいとされており、スポーツ現場でも怪我の予防に使われます。治療の現場でもハムストリングスの筋力が著しく低下している場合は大腿四頭筋との筋力差に着目して治療を行うと良いでしょう。

このように大腿二頭筋は単純な関節の運動だけではなく、多関節に跨る複雑な関節運動と関節の安定性に関わっている筋肉なのです。

山田
大腿二頭筋は骨盤の安定性や後傾にも関わる筋肉なので腰痛にも影響します。長さのある筋肉なので大腿二頭筋の「どの箇所」に異常があるのかを観察して施術を行うのがポイントです

 大腿二頭筋のリハビリテーション

大腿二頭筋は長さのある筋肉なので筋力リハビリテーションでは
等尺性収縮→求心性収縮→遠心性収縮
の順番で必ず行うようにしましょう。

肉離れなどの損傷では容易に再受傷しやすい為、リハビリテーションの順番と強度に注意が必要です。
膝の角度によって筋肉の収縮が強い部位が変わるので、可動域を変えながらの筋収縮を心がけるべき筋肉でもあります。

神経的なトレーニングでは、バランスディスクなどを用いたり、ジャンプ-着地などで筋神経の協調性トレーニングを取り入れましょう。
前段でも書いた通り、大腿二頭筋は長頭と短頭で主な支配神経が異なり、神経系のトレーニングを行わないと再受傷のリスクが高まります。十分な筋力発揮が行えるようになった後は必ず神経系のトレーニングを行い、周辺筋群との筋協調性を高めましょう。

遠心性のトレーニングとして有名なノルディック・ハムストリングエクササイズがありますが、こちらのトレーニングは高負荷なので取り入れる際には注意が必要です。十分な筋収縮が得られている事や、筋損傷の回復がなされていることを確認した上で取り入れるようにするのがベターです。(ノルディック・ハムストリングエクササイズは最大等尺収縮の約128%の負荷をかけられる)

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 まとめ

どうでしたでしょうか?

大腿二頭筋は、解剖的・機能的に非常に重要かつ臨床的に頻繁に問題となる筋肉です。
特に、股関節膝関節を跨ぐ構造や二頭構成(長頭・短頭)を持つため再受傷しやすい傾向がある筋肉です。

広い部位に影響を与える筋肉なので、しっかりと解剖学的な特徴を踏まえた上で臨床でアプローチを行うようにしましょう。

この記事が身体についての専門職の方々の臨床への一助になれば幸いです。